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「脱走は想定内」刑務官OBが語る「塀のない刑務所」の真実 | データ・マックス NETIB-NEWS

4月8日夜に発覚した、松山刑務所大井造船作業場(愛媛県今治市)の脱走事件。事件発生から11日を過ぎたが、いまだに「脱獄囚」の逮捕には至っていない。 「実は、大井作業場での脱走はある意味『想定内』なんですよ」と苦笑交じりに語ってくれたのは、刑務官OBのA氏。行刑施設の長を務めた経験もある。 「報道の通り、大井作業場には脱走を食い止めるための塀はない。ごく普通の造船場の一角で、周囲には一般的な金網のフェンスがあるだけ」だという。このような開放的施設は鹿児島刑務所吉松農場、広島刑務所尾道刑務支所有井作業場など数カ所ある。なかでも千葉県にある市原刑務所は施設全体が「開放的」であり、400人を超す受刑者が塀のない刑務所で刑期を過ごしている。 「大井作業場に移送される受刑者は、『強のつく犯罪(強盗、強姦、殺人などの重罪を指す)』を犯していない者で、かつ更生の意欲が高く、生活態度のよい者。ここに来ると100%仮釈放になるし、仮釈放までの期間が大幅に短縮される。しかもしっかり手に職がつく」ということだから、早く社会復帰をしたいという受刑者にしてみれば垂涎の刑務所、ということになる。 にもかかわらず脱走者が出る、というのはなぜか。その要因の1つとして考えられるのは、開放的施設では集団行動や社会生活への復帰を目指しているため、所内の管理は受刑者同士の自治に任されているという。そこにいじめのような構造はないのか。「ある」というのがA氏の回答。「よくある、運動部の先輩後輩の構図を考えてもらえばわかる。作業場に先に入ったものが偉いということ。年季が古い受刑者が仮釈放で出所すれば繰り上がり、新たに入ってくる受刑者は下っ端扱い。かつて自分たちがやられたことを、年季が古くなれば新入り相手にやるという構造だ」。 この人間関係に嫌気がさして脱走した、というケースも過去にあったという。「脱走となれば、当然仮釈放は取り消し。刑期をいっぱいまで務めたうえで、『逃走罪』に問われることになる。単独なら1年以下の懲役(単純逃走罪)、複数で通謀したり、暴行、脅迫、刑務所施設を壊すなどのことがあれば3月以上5年以下の懲役(加重逃走罪)だ」。それだけのリスクを冒してでも逃げたい理由がある、ということなのだろう。…

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情報元: データ・マックス NETIB-NEWS

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